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海外生活体験記

医師 赤星 みどり

1998年、日系のクリニックに内科医として勤務するために、当時小学生だった2人の子供と共にシンガポールに渡り、2009年に帰国するまで11年間滞在しました。シンガポールには駐在員やその家族など、約2万5千人の日本人が住んでいます。私が勤務していたのはその日本人を対象にした外来のみのクリニックで、一般外来や健康診断を行っています。日本人医師5名、日本の医学部を卒業したシンガポール人医師1名が各々の専門を担当し、放射線技師、薬剤師、受付なども日本人スタッフが常駐していて、ほとんど日本と同じように受診することができます。

シンガポールは、淡路島とほぼ同じ大きさの面積に約500万人が暮らす都市国家です。ほぼ赤道直下にあり、高温多湿で、1年中日本の真夏の気候です。季節の変動はなく、長年生活していると日本の四季が懐かしくなります。シンガポールは、中国人、マレー人、インド人からなる多民族国家です。英語が共通言語ですが、中国語、マレー語、タミール語も公用語として用いられています。それぞれの民族や宗教に基づいたお祭りや寺院があり、チャイナタウン、リトルインディア、マレー人街、アラブストリートなど様々な国の雰囲気を味わうことができます。

シンガポールはまた、罰金が多いことでも知られています。ごみのポイ捨てや屋内での喫煙禁止はもちろんのこと、“ドリアンをバスや電車に持ち込む”、“トイレの水を流さない”なども罰金の対象になり、街のいたるところで罰金の看板がみられます。こういった厳しい罰則を課することで、きれいな街並みが保たれているといえるかもしれません。また、タバコやアルコール、車などのぜいたく品には、高率の税金が課されていて、タバコ1箱が800円位です。一方、バスや電車の運賃(1区間50円程度)、電気・ガスなどの公共料金は安く、メリハリのある政策をとっています。

小さな島国のシンガポールは、天然資源はほとんどないため、“人が資源”という理念のもと、積極的に外国人を受け入れています。その結果、現在は人口の3人に1人が外国人という人口構成です。技術者や研究者はもちろんのこと、日本と違い外国人の単純労働も認められています。ほとんどの共働き家庭は、外国人の住み込みのお手伝いさんを雇っており、また外食も安く、女性が仕事を続けやすい環境が整っています。私もインドネシア人のお手伝いさんを住み込みで雇って、家事全般を引き受けてもらい、非常に助かりました。

最初は3年間のつもりで行ったのですが、居心地の良さにつられ、気が付くと11年も滞在することになってしまいました。下の子供が高校を卒業したのを機に、帰国しましたが、2人の子供たちは今それぞれ海外の大学に通っています。

シンガポールと言えばマーライオンが有名ですが、最近、政府公認のカジノがオープンし、さらなる観光客誘致を進めています。季節感の全くないシンガポールですが、唯一クリスマスのシーズンは、繁華街が数キロにわたりクリスマスの飾りつけで彩られ、華やいだ雰囲気になります。皆さんも一度真夏のクリスマスを味わいにシンガポールを訪れてみませんか。

「健康さんぽ51号」

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